「IMPELLA(インペラ)」 JCS2019学習報告①

第83回日本循環器学会学術集会に参加してきました。

 

講演を聞いて、刺激になった、勉強になった内容を、まとめて書きたいと思います。

 

新しい知識は楽しいですね。

1つ目の報告になります。

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IMPELLA(インペラ)とは?

「CCUで勤務するためにこれだけは知っておきたい集中治療の最新の話題」というシンポジウムを聴講しました。

シンポジウムですので、何人かの先生が、テーマを分けて講演しています。

そんななか、二人の医師が「IMPELLA(インペラ)」というテーマの話をしていました。

 

私の病院では使用していなくて、なんとなく聞いたことある程度でしたが、説明もしてくださっていて勉強になりました。

 

「IMPELLA(インペラ)」とは、非常に小型のポンプをカテーテルで左心室の中に入れることで、補助循環をする新しいデバイス(機械)です。

 

補助循環というと、IABPやV-A ECMO(PCPS)と同じような役割ですね。

インペラは、血液を送り出す力がなくっている左室の代わりに、左室からポンプのように血液を抽出して、大動脈弁を過ぎたあとに、大動脈に送り出す仕組みです。

左室を休ませてあげることもできるので、心負荷もとり、同時に効果的な動脈血の核出もできます。

 

著作権の関係で写真は添付できませんが、わかりやすい病院のHPがありますので、参考にしてみてください(動画もあります)

http://www.seirei.or.jp/hamamatsu/guidance/highly-specialized/impella/

 

動画でみるとイメージがつきやすいと思います。

相変わらず医療の進歩はすごいですね・・・

印象に残った内容

2004年からヨーロッパで、2008年からアメリカで承認を得て販売が開始され、既にヨーロッパ・アメリカでは広く普及しているそうです。

しかし、日本では2017年9月から導入開しました。(相変わらず遅いです)

日本では48施設(2018年12月時点)が実施施設として認定されているそうです。

 

対象は心原生ショックに陥った「重症の心筋梗塞」「重症心不全の急性増悪」「劇症型心筋炎」などだそうです。

 

これまで、心原生ショックに陥った症例には、IABPやPCPSが使われてきました。

しかし、IABPは「心原生ショックの予後を変えない」という、ネガティブなデータがでて、使用しなくなってきているそうです。

(私の病院ではまだ使っています)

 

これが、IABPのネガティブな論文です。

めちゃくちゃインパクトファクターの高い有名な論文(NEJM)に掲載されたので、世界の流れは変わっていきますよね。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1208410

 

確かに、衝撃的な結果でした。

 

このような背景から、

演者の先生の病院は、心原生ショックのファーストチョイスはインペラといっていました。

インペラで対応できない場合は、PCPSを併用するそうです。

 

ここ20年間の医療の進歩のなかでも、心原生ショック後の予後に関しては改善できていないようです。

そんな中、インペラの導入により救命率が期待できているようです。

 

実際に二人の先生の報告では良好な報告でした。

 

今は「ドア to  サポートタイム」といって、以下に早く心臓の負担を取ってあげるかが救命に重要だそうです。

 

インペラを使用することで、

「酸素需要が減り、酸素化がよくなり、心拍出量も増える」とのことでした。

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まとめ

・心原生ショックに対する予後はここ20年間も改善できていなようです。

・IABPの効果も否定的になっています。

・インペラは新しい機器として、心原生ショックに陥った患者さんを救える期待の治療になってくるそうです。

・日本では2017年から開始したばかりですので、今後効果が認められるとともに、広がってくると思われます。

 

私にとっては新しい知識でしたので、十分にまとめられていないかもしれません。

興味が出た方は、是非調べてみてください。

私も、今後の動向にも注目していきたいと思います。