統計学入門:3群以上の差の検定〜検定方法の選び方〜

以前に、2群間の差の検定を行いたいときの検定方法について以下のサイトでまとめました。

統計学入門:2群の差の検定〜検定方法の選び方〜

 

では、3群以上の群間で差を見たいときはどうすればいいのでしょうか?

「60代、70代、80代の握力を比較したい」

「リハビリ前、リハビリ3ヶ月後、リハビリ6ヶ月後の握力を比較したい」

 

など、臨床研究で3群間以上について調べたいこともありますよね。

 

2群間の差の検定を繰り返すことはダメで、3群以上で比較する場合は、決められた差の検定方法があります。

3群以上の場合も、「対応のある」「対応のない」や、「パラメトリックな方法」「ノンパラメトリックな方法」など、検定方法は様々です。

 

慣れないとわかりにくいですよね。

今回は、「3群間以上の差の検定」について、差の検定方法を簡単にまとめました。

スポンサードサーチ

3群以上の差の検定〜検定方法の選び方〜

2群間の差を検定する場合と考え方は似ているのですが、3群以上の差の検定を行う場合は統計手法が違いますので、間違えないようにしないといけません。

 

3群以上の差の検定方法の選び方をフィローチャートで示します。

*画像か小さくて見えにくい場合はクリックして拡大してください。

 

①まずは比較したいデータが「比率尺度」「間隔尺度」かを確認します。

MRCやMMTなど、順序ではあるが間隔が一定ではない尺度である「順序尺度」は「No」の矢印に進みます。

*データの尺度については以下のサイトを参考にしてください。

EZRの使い方:医療統計実践編  変数の解析

注)データ数が少ないとパラメトリックの方法は行えません。フローチャートの「No」に進んでノンパラメトリックの方法になります。

(データ数は各郡25以上が目安といわれています。)

 

②次にデータが「正規分布」しているかどうかを確認します。

*正規分布の確認については以下のサイトを参考にしてください。

EZRの使い方:正規分布とは?正規分布の求め方

 

③データに対応が有るか無いかによっても検定の方法が変わってきます。

データの対応の有無については以下のサイトを参考にしてください。

対応のあるデータ?対応のないデータ?

 

これで3群以上の差の検定方法を選択することができます。

 

フローチャートの左側がパラメトリックの方法、右側がノンパラメトリックの方法になります。

パラメトリックとノンパラメトリックの違いがわからなければ以下のサイトを参考にしてください。

統計学入門:パラメトリック?ノンパラメトリック?

 

ここで注意が必要なのが、2郡の差の検定と違い、3郡以上の差の検定の場合「分散分析」などの検定を行なっても、どこかに有意差があることがわかっても、「どの郡」と「どの郡」に有意な差があるかわからないことです。

 

どこに差があるのかは見出したければ、「多重比較」を行う必要があります。

多重比較とは、p値が大きくならないように調整して群間比較をする検定方法になります。

以下に詳しく説明します。

多重比較

繰り返しになりますが、「分散分析」など3郡以上の差の検定方法では、有意に差が認められても「どことどこの郡に差がある」かはわかりません。

そのため、「多重比較」を行う必要があります。

多重比較(multiple comparison)

どの郡とどの郡に差があるのかを調べる方法です。

群間のどこかに差があるとわかってから、事後検定(下位検定、post-hoc検定)として多重比較を行います。

複数の考え方・方法があり、使用にあたっては注意が必要ですが、統計ソフトによっては決められていることもあります。

フローチャートを再度確認すると、このように、群間のどこかに差があるとわかってから行う方法になります。

*多重比較は必ずしも「分散分析」などを行なった後に使用するものではなく、単独の使用も可能であるようですが、多くの学術領域では「分散分析」などの後に行うことが慣例になっているようです。

 

統計ソフトによって使用できる多重比較の方法が決まっているものもありますが、簡単に多重比較の方法についてまとめてみます。

Bonferroni法:あらゆる検定方法に対して使用できる、最もオードドックスな方法。有意差が得られにくい厳しい方法でもある。

Holm法:Bonferroniの改良型。Bonferroniより有意差が得られやすい。

Tukey法:Bonferroniより有意差が出やすい。

Scheffe法:有意差が得られにくく、厳しく有意差を判別したいなど特別な理由があるときに使用される。

Dunnett法:コントロール郡と各群の比較としたいときの方法。

*Tukey、Scheffe、Dunnettの方法はいずれも、データの正規分布と等分散が前提となる方法です。

スポンサードサーチ

まとめ

  • 3郡以上の差の検定方法には様々な方法があり、選定が必要です。
  • データの尺度、正規分布、データの対応の有無で統計手法を選択します。
  • 差の検定を行なったあとに、事後検定として多重比較を行い、どの郡とどの郡に有意な差があるかを確認していきます。

 

統計手法は様々あるので、複雑で混乱してしまいます。

ですが、しっかり自分のデータを理解して、フローチャートに沿って確認していけば簡単に選択できます。

今回簡単にまとめてみましたので、参考になれば幸いです。