(2020年2月12日最終更新)
「資産運用のリターンが下がってもリスクを抑えたい」
「債券ファンドを保有してバランスをとりたいけどどれを選んだらいいかわからない」
株式を選ぶ以上に債券をどのように保有すべきか迷う方も多いと思います。
そもそも資産運用を長期で行うには株式投資が中心になります。
それでも自分のポートフォリオに債券を組み入れることを多くの書籍が勧めています。
今回はそんな債券のなかの「国内債券」を保有するメリットとおすすめ商品をご紹介したいと思います。
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目次
国内債券は資産を安定化!ポートフォリオに債券を組み入れるメリット
資産運用を行うのは「老後資金」「教育資金」「資産形成」をおこなうためなので、もちろんリターンが重要です。
そのためには株式投資が中心になります。
「敗者のゲーム」で有名なチャールズ・エリスなどは、年齢が若いうち(働ける期間が長い、まとまった資金が当分不要)は、株式100%の保有でも問題ないと言っています。
しかし、「資産の値動きを抑えたい」「もうすぐ定年だからあまりリスクは取りたくない」などの理由から自分のポートフォリオに債券を組み入れるかどうか迷っている方も多いと思います。
あまりリスクをとりたくない資産運用の初心者は「株式60%、債券40%」などから始めるといいとも言われています。
株式クラスと債券クラスという値動きが違うアセットクラスを組み合わせることによって分散効果が働き、あまり期待リターンを下げずにリスクを効率的に下げることができます。
より引用
このように、債券を組み合わせて保有するメリットは、分散効果による資産の安定化ですね。
リスク資産、特に株式だけでポートフォリオを構築することは、一輪車で坂道を転がり下りるようなものです。うまくスピードに乗れば、あなたの資産は大きく殖えますが、大きな石にぶつかれば、あなたな一輪車から投げ飛ばされ、資産は大きく毀損します
(中略)
「安全資産」は地味な存在ですが、積立て投資を続けるうえで資産の価値を守る「防波堤」の役割を担うのです。
より引用
ここでいう安全資産とは、この書籍では「日本債券」を指しています。
〇〇ショックのような株式相場の大暴落がおきると、(一時的だとしても)保有資産が30〜50%と一気に減少してしまいます。
その時の精神状態は大変なもので、リーマンショックのときもニュースでも大事になり、ネット界隈でも大変な騒ぎでした。
その時に耐えられる準備と精神状態があれば「株式1本」でもいいのですが、自分の年齢や準備によってはそうもいかないことが多いと思います。
暴落(〇〇ショック)は常に覚悟と対策が必要!【看護師の資産運用】
そんなときに、「債券」を保有していると理論上は値下がりを留めてくれて、資産を安定化してくれます。
先ほどの書籍(水瀬氏著)の例を借りて、具体的に分散効果をみてみます。
株式クラスを、「国内株式:先進国株式:新興国株式=1:8:1」に固定し、国内債券の組み入れ比率を変えてみます。
期待リターンとリスクがどう変わっていくかを以下の表で表しています。
国内債券 | 国内株式 | 先進国株式 | 新興国株式 | 期待リターン | リスク(標準偏差) |
0% | 10% | 80% | 10% | 5.4% | 18.9% |
30% | 7% | 56% | 7% | 4.0% | 13.2% |
50% | 5% | 40% | 5% | 3.2% | 9.6% |
70% | 3% | 24% | 3% | 2.3% | 6.6% |
これは計算上であり実際とは異なると思いますが、このように値動きの違う資産クラスを組み合わせることで、リスクを下げる分散効果を期待できます。
ちなみに、債券ファンドには「国内債券」だけでなく、「先進国債券」や「新興国債券」がありますが、資産を安定化するための保有には国内債券が重要になります。
「海外債券」はいくら株式と違う値動きをするとしても、為替リスクがあるため安定しているとは言い難いからです。
円と外貨の為替レートの変動により、外貨建ての資産価値が減ってしまうリスク
このことから、為替リスクのない「国内債券」が唯一の安定資産といわれています。
それでも「先進国債券」は全世界株式の80%近くを占めている先進国株式の値動きを安定化してくれているため、保有するメリットはあるかもしれません。
しかし「新興国債券」はオススメできません。「先進国債券」以上に安全資産になり得ないのは以下の理由からです。
1:新興国は概して物価上昇率(インフレ率)が高いため、その国の通過建てで見ると実質価値は対して増えない
2:為替が変動する振れ幅(リスク)が大きいため、為替レートが一方向に振れると為替差損で収益が吹き飛んでしまう恐れがある
ここで、ひとつややこしいのは、国内債券インデックスファンドも完璧ではないとのいうことです。
国内債券インデックスファンドは金利上昇で価格が下落するため、今後金利が上昇した場合損失がでる可能性があります。
現在の日本は超低金利であり、政府は物価上昇の目標を2%にしているなど、今後金利が上昇する可能性も十分あります。
このように将来の金利上昇を予想するのであれば「個人向け国債」もオススメです。
「個人向け国債」は国債の一種で、個人向け専用の商品です。(投資信託とは違うので購入方法は別になります)
金利変動によって元本が変動しないという大きなメリットがあります。
変動金利型の「個人向け国債 変動10年」であれば将来の金利上昇にもある程度追随できます。(運用コストは年0%)
現在のマイナス金利状況を考えても理想的な商品になります。
しかし、個人向け国債は投資信託ではなく、毎月の積立購入ができません。
国債の発行している期間は一定ではないため、財務省の発行スケジュールを確認しないといけません。
もちろん「つみたてNISA」や「iDeco」の対象でもないので、今回は積立購入が行える投資信託から、おすすの商品を3選ご紹介します。
eMAXIS Slim国内債券インデックス
<購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド
たわらノーロード国内債券
詳細をまとめてみます。
eMAXIS Slim国内債券インデックス
1つめは、「eMAXIS Slim国内債券インデックス」で、大人気のeMAXIS Slimシリーズの「国内債券」商品です。
eMAXIS Slimシリーズが人気の大きな理由に、業界最低水準の運用コストを目指し、信託報酬の引き下げを何度も行ってくれます。(ライバルに追従し、追い越すような感じですね)
<基本情報>
ファンド名 | eMAXIS Slim国内債券インデックス |
設定日 | 2017/02/27 |
資産クラス | 日本債券 |
対象インデックス | NOMURA-BPI総合 |
購入手数料 | 0%(ノーロード) |
信託報酬 | 0.132% |
純資産総額 | 85.25億円(2020/02/12) |
主な販売会社 | 楽天証券、SBI証券 |
<主要資産>*見えにくい場合は図をクリックしてください。
https://emaxis.jp/pdf/koumokuromi/252648/252648_20200125.pdfより引用
<純資産総額推移>*見えにくい場合は図をクリックしてください。
https://emaxis.jp/fund/252648.htmlより引用(2020/02/12)
信託報酬は0.132%と国内債券インデックスファンドでは最安値ですね。
純資産総額は85億円以上となってきて、順調に増えていますので安定感もでてきました。(株式に比べると購入数も少なく額は小さいですね)
・安全資産である国内債券に連動した商品
・純資産総額は国内債券インデックスファンドでは比較的高額で、信託報酬は最安値
・eMAXIS Slimシリーズは信託報酬の値下げ実績が豊富であり、今後も値下げする可能性がある(期待値が高い)
国内債券のインデックスファンドは「株式」に比べると純資産総額は少なめになりますが、それでも同類の商品では多めです。
信託報酬も最安値で、安全資産として保有するには優良のおすすめファンドとなります。
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<購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド
<基本情報>
ファンド名 | <購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド |
設定日 | 2015/01/29 |
資産クラス | 日本債券 |
対象インデックス | NOMURA-BPI総合 |
購入手数料 | 0%(ノーロード) |
信託報酬 | 0.132% |
純資産総額 | 83.37億円(2020/02/12) |
主な販売会社 | 楽天証券、SBI証券 |
<組入上位銘柄>*見えにくい場合は図をクリックしてください。
http://doc.wam.abic.co.jp/ap02rs/contents/pdf/29314151_m.pdfより引用
<純資産総額推移>*見えにくい場合は図をクリックしてください。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/detail/?ID=JP90C000B9V6より引用(2020/02/12)
信託報酬は0.132%とeMAXIS Slim国内債券インデックスと同様に国内債券インデックスファンドでは最安値ですね。
純資産総額も83億円以上となっていて、eMAXIS Slim国内債券インデックスと僅差ですね。
・安全資産である国内債券に連動した商品
・純資産総額は国内債券インデックスファンドでは比較的高額で、信託報酬は最安値
・eMAXIS Slimシリーズと同様に信託報酬の引き下げを実施してくれる実績があり期待できる
こちらも信託報酬が最安値で、安全資産として保有するには優良のおすすめファンドとなります。
たわらノーロード国内債券
3つ目も安定感のある「たわらノーロード」シリーズの人気ファンドです。
<基本情報>
ファンド名 | たわらノーロード国内債券 |
設定日 | 2015/12/18 |
資産クラス | 日本債券 |
対象インデックス | NOMURA-BPI総合 |
購入手数料 | 0%(ノーロード) |
信託報酬 | 0.154% |
純資産総額 | 132.43億円(2020/02/12) |
主な販売会社 | 楽天証券、SBI証券 |
<種別構成比>*見えにくい場合は図をクリックしてください。
<純資産総額推移>*見えにくい場合は図をクリックしてください。
http://www.am-one.co.jp/fund/summary/313123/より引用(2020/02/12)
信託報酬は0.154%とこれまでの2つの商品には劣っています。
しかし純資産総額は132億円以上となっていて、最も高額で安定していますね。
・安全資産である国内債券に連動した商品
・純資産総額は国内債券インデックスファンドでは最も高額
・信託報酬も十分低コストだが、最安値には及ばず
信託報酬を考えるとこれまでの2つの商品に比べると見劣りしてしまいますね。
純資産総額は最も高額なので、安定感があることは間違いありません。
少なくとも「失敗しない!」インデックスファンドには該当しますね。
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比較すると・・・
<基本情報>
ファンド名 | eMAXIS Slim国内債券インデックス | <購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド | たわらノーロード国内債券 |
設定日 | 2017/02/27 | 2015/01/29 | 2015/12/18 |
資産クラス | 日本債券 | 日本債券 | 日本債券 |
対象インデックス | NOMURA-BPI総合 | NOMURA-BPI総合 | NOMURA-BPI総合 |
購入手数料 | 0%(ノーロード) | 0%(ノーロード) | 0%(ノーロード) |
信託報酬 | 0.132% | 0.132% | 0.154% |
純資産総額 | 85.25億円(2020/02/12) | 83.37億円(2020/02/12) | 132.43億円(2020/02/12) |
主な販売会社 | 楽天証券、SBI証券 | 楽天証券、SBI証券 | 楽天証券、SBI証券 |
国内債券は株式に比べて純資産総額が低めですが、これらの商品は順調に増額してきていて安定している商品といえると思います。
信託報酬を考えると、「eMAXIS Slim国内債券インデックス」「<購入・換金手数料なし>ニッセイ国内債券インデックスファンド」の2つが特におすすめですね。
まとめ
今回は資産を安定化させるための「国内債券」についてメリットを含めてまとめてみました。
国内債券インデックスファンドは地味な印象がありますが、商品としては信託報酬も低く、優良な商品も展開されています。
株式一本ではなく、債券の組入を考えている際は少しでも参考にいただけたら幸いです。