「虚血性心筋症へのハートシート」JCS2019学習報告③ 

第83回日本循環器学会学術集会に参加してきました。

 

講演を聞いて、刺激になった、勉強になった内容を、まとめて書きたいと思います。

 

新しい知識は楽しいですね。

3つ目の報告です。

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虚血性心筋症への治療限界

学会2日目(30日)のコーヒーブレイクセミナー

「虚血性心不全に対する治療戦略〜ハートシートの使用と適応症例の検討〜」の講演を聞いてきました。

 

2016ESCガイドラインによって、症状のある収縮不全の心不全患者への治療指針が明記されています。

無料でPDFで閲覧できます。

https://www.acc.org/~/media/Non-Clinical/Files-PDFs-Excel-MS-Word-etc/Tools%20and%20Practice%20Support/Quality%20Programs/Heart%20Failure%20Roundtable%202016/Heart%20Failure%20Guidelines/HFG%204%202016%20ESC.pdf?la=en

 

ACE阻害薬やβブロッカーを許容されるだけできるだけ多く使用すると書かれています。

これらを大容量で使用すると、心不全症状が増悪する症例を多く経験しますが、心不全にならなければ大容量がいいとのことです。

今回の講演でもカルベジロールを50mg使用して、安定しているDCM症例の報告がありました。

 

しかし、このような内服治療でも限界の場合は、アルゴリズムで下の方に行き、心臓移植などの適応になります。

 

日本での心臓移植後の10年生存率は、世界的にも高くて88%だそうです。

しかし、毎年新規の登録者が200人を超え、待機患者が多過ぎて実際に移植できる人は限られています。

そもそも虚血性心筋症の患者に対する心臓移植は少ないそうです。

 

そういった場合に、心臓移植待ちのためにLVAD(植え込み型人工心臓)なども検討されますが、これも実施できる施設が少なく、デバイス管理の問題もあります。

ハートシート治療とは?

ハートシートについて

心不全患者への再生医療の先駆けとして開発されたのが、

TERUMOの「ハートシート」です。

ハートシートは、患者さんの大腿部から採取した筋肉組織に含まれる骨格筋芽細胞を培養してシート状に調製し、患者さんの心臓表面に移植する製品で、虚血性心疾患による重症心不全の治療を目的としています。

数年前から、この製品の話は聞いたことありましたが、今回の講演でより詳しく説明があり、

今後の臨床試験についても報告されていました。

 

ハートシートは、患者さんの大腿内側広筋から筋を採取して、筋を培養し、5枚のシートを作成して、心筋に貼ります。

筋採取からハートシート移植まで20日程度の期間を有します。

 

詳しい画像などは、以下のTERUMOのHPに掲載されています。

https://www.terumo.co.jp/medical/regenerative/heartsheet.html

虚血性心筋症への適応

虚血性心筋症への治療として期待できる再生医療ですが、

適応としては、


  • NYHA: Ⅲ or Ⅳ
  • 内服で改善できない(上記ガイドラインに準じて)
  • LVEF<35%
  • 標準的な治療(PCIなど)をして、3ヶ月以上経過しても心不全症状が継続

以上のような症例を対象にしているようです。

 

心不全のステージがD(AHA/ACC分類)になってしまってから依頼があることも多いそうですが、

今回の演者の先生の考えでは、ステージDでは遅く、Cの適応がベストではないかと考えているようです。

今後の臨床研究

これまで、演者の先生の自施設では、

7例の虚血性心筋症患者に実施し、7例ともLVEFが上昇していました。

NYHA:Ⅲの症例が7例で、4人がNYHA:Ⅱへ、2人がNYHA:Ⅰへ、1人がNYHA:Ⅲのままだったようです。

 

今後日本の臨床試験として、コントロール群を120例、ハートシート群を60例目指した多施設共同研究が始動しました。

8大学で行われる臨床試験で、現在はハートシート群に15例がエントリーされているようです。

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まとめ

虚血性心筋症患者への再生医療として「ハートシート」が開発されています。

数例ですが、ハートシートを移植したことで心不全が改善している症例の報告がありました。

今後日本国内で、多施設の共同研究により有効性を検討されていきます。

 

医療は日々進歩していき、難治性の心不全症例にも希望の光が見えてきています。

治療構想案がでてから、数年を要してしまいますが、現在臨床試験も始まっていますので、今後の動向に期待したいと思います。

 

以上、不十分でしたが、学会報告③とさせていただきました。