無気肺に対する看護のコツ!肺炎や術後に注意するポイント

「姿勢変換したら急にSpO2が低下しました」

「昨日から痰が増えて、SpO2も上がりません」

 

など、臨床現場でよく遭遇することですよね。

自分が受け持ちの患者さんではなるべく起こってほしくなことですね。

 

こんな時は「無気肺」が影響していることが多いです。

 

「無気肺」とはよく言いますが、無気肺の種類や対処法に関しては意外と知られてなく、不適切な看護がされていることがあります。

ここでは、簡単に無気肺についてまとめてみましたので、参考にしてみてください。

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無気肺について

無気肺について理解すると、看護のコツがつかめて、医師への連絡するタイミング、急変時対応なども行いやすくなります。

 

無気肺とは、

痰などの気道分泌物による気道の閉塞や、胸水による圧迫など、なにかしらの原因で気管支が閉塞することによって、その先の肺胞に空気が行かなくなっている状態です。

末梢気管支のごく小さな閉塞では症状はほとんど現れないですが、気管支の中枢部で生じることでその先の肺胞に空気が行かなくなるので急激に酸素化が保てなくなります。

ひどい例では、姿勢変換で一気に呼吸状態が悪化することになり、とても注意が必要です。

 

しかし、適切なアセスメントと看護が行えると、劇的に改善することもできますし、予防することもできます。

 

無気肺にも種類があり、看護として即時的に解除できる場合や、治療の効果を待たないと対応できない場合があるので、簡単に整理してみました。

無気肺の種類と診断

無気肺には以下のように、原因によって種類を分けることができます。

 

おそらく、あなたが思い描いている「無気肺」はここで言う「吸収性無気肺」のことではないでしょうか?

私は10年近く無気肺は吸収性無気肺のみと考えていました・・・

 

実は種類が多い無気肺ですが、無気肺と言えば、ほとんど「吸収性無気肺」のことが多いですので、このサイトでも無気肺=吸収性無気肺として記載していきます。それでも、種類と原因を理解していると看護の対応が変わってきます。

 

例えば、「受動性無気肺」になった場合は、体位ドレナージや吸引操作はほとんど効果がありません。筋力低下などによる換気量低下で起こる無気肺ですので、呼吸しやすい姿勢に変えるとか、NPPVを装着するなどして改善を目指します。

「圧迫性無気肺」も多く起こりうる状態ですが、これに関しても気道に痰があるわけではないので吸引しても何も引けません。胸水や不動による影響で肺が潰れている可能性が高いので、肺を広げる目的に姿勢変換や離床が無気肺を改善するポイントになります。

 

無気肺といっても、このような原因によって看護の対応も変わってきますので、意識してみてください。

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無気肺に対する看護

無気肺が起こった場合は、誰が一番対応できるのでしょうか?

呼吸リハビリテーションが当たり前になってきた近年では、理学療法士も排痰に関しては得意分野になってきています。(私も呼吸リハビリを専門にしているつもりです)

もちろん、理学療法士がやってきて、テクニックや機器を使うことで有効な排痰が行えることも多いです。しかし、リアルタイムで痰が詰まった時、酸素化が低下した時に、理学療法士がその場にいるとは限りません。

 

やはり、常に側にいる看護師が最も無気肺に対応できる職種だと思います。

 

筋力低下と違ってゆっくり進行していくものではなく、急激に発症して、即座に対応が求められうので、理学療法士や医師よりも看護師こそが無気肺患者さんの救世主になれるのです。

 

私も難渋した無気肺には、スクイージングと言われる手技や、「カフアシスト」という機器を使用した排痰法を行ってきました。

しかし、やっぱり大事なのはこれから記載する「フィジカルアセスメント」「体位ドレナージ」です。

 

そして、「予防」が超重要です!

そもそも痰が詰まらなければ、苦しむこともないですし、吸引も必要ないかもしれません。

予防で最も重要なのは、早く離床することです。

 

痰は多くは肺の背中側(下側肺障害と言います)に溜まってきます。

ですので、離床することで、肺の背中側を随時解放して、その都度痰を出しやすくすることが重要です。

無気肺部位の特定

何よりも、まず一番重要なのは、無気肺になっている肺の部位を特定することです。

レントゲン、フィジカルアセスメントを駆使して、無気肺を特定さえできれば無気肺に対する看護は単純です。

 

言うのは簡単ですが、このアセスメントをしっかりできる看護技術が必要だと思います。

特に聴診による呼吸音の確認が最も必要です。以下に呼吸音についての記事を載せましたので、参考にしてみてください。

呼吸音を聴診するコツ〜看護に必要なフィジカルアセスメント〜

痰の移動の確認:有効な体位ドレナージ

痰の貯留部位を特定できたら、その痰を移動させて口から出す必要があります。

詰まっている痰が動くと、肺胞が開いて、空気の流れが聴診できて、酸素化も上がり、患者さんも楽になります。

私はこの感覚がすごく好きです(不謹慎ですみません)

けど、それくらい劇的な効果があることもあるので、痰をしっかり移動させることは重要です。

 

痰の移動を図で示してみました。

まず理解して欲しいのは、無気肺になったからといって、いきなり吸引しても効果がないということです。

図で示すように、末梢気道に痰が閉塞したのであれば、まずは中枢に移動させる必要があります。

そこから、咳で出せない患者さんには吸引をします。

 

ですので、まずは末梢からの痰の移動を考えてみてください。

 

そこで重要なのか「体位ドレナージ」です。

 

書籍には、いろいろな図が書いてありますが、要は、

痰があると思った部位を上側(体位変換)にして、苦しくない姿勢をとって(ポジショニング)、重力で痰を移動(ドレナージ)させるだけです。

背中側に痰がある場合は、うつ伏せ(伏臥位)はARDSなど余程の事態でないと行いません。

そんな時は、前傾側臥位といって、うつ伏せに近い側臥位をとるだけでも十分効果があります。

 

深く考えるより、痰の貯留部位を特定することが何よりも重要とうことです。

 

痰が移動すると、痰がらみが始まったり、気道中枢部で痰の貯留音が聞かれたり、閉塞していた部位で呼吸音が変わります。

そこで、痰が自分で出せない患者さんには、吸引操作をしてみてください。

 

痰の核出とフィジカルアセスメントによる効果測定

姿勢変換を行ったり、吸引をした後は、確実に再度フィジカルアセスメントをしてください。

改善したこと確認することが大事なのですが、それよりも悪化させていないことも確認する必要があります。

 

「痰があったので、体位ドレナージをしたら血圧が下がった。」

「痰は移動したけど、むしろ中枢部で閉塞してしまい、急激に酸素化が低下した」

 

なんてことにもなりかねないので、フィジカルアセスメントは排痰前後の必須評価としてください。

無気肺になりやすい状態

無気肺はどの患者にも起こりうるのですが、特に注意が必要な患者さんの特徴を記載して見ました。


  • 肺炎後:肺胞に炎症が起きて、痰が増えます。
  • 心不全後:心臓がいっぱいいっぱいで肺に水があふれてきます。胸水も多いので、吸収性無気肺と圧迫性無気肺になりやすいです。
  • 体動困難な寝たきり状態:動けないので、肺の背中側に痰が慢性的に貯まります。そして自力で出せません。
  • 脊髄損傷:特に急性期は脊髄ショックが起きていると、自律神経が破綻して、痰がものすごく増えて肺が潰れます。
  • 術後:特に開胸、開腹術後ですが、麻酔の影響や痛みによる不動などからも肺炎になりやすく、同時に無気肺にもなりやすいです。
  • 脳卒中:特に急性期は、嚥下機能の低下などで痰が核出できずに無気肺になってしまう可能性があります
  • ヘビースモーカー:痰を移動させる繊毛という気管支にある毛が機能せず、痰が移動しませんし、痰が多く産出されます。

これらの患者様は特に注意が必要です。

 

繰り返しますが、ここにあげた方だけでなく、全ての患者さんに無気肺が起こる可能性はあります。

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まとめ

  • 無気肺にはいろいろな種類がある。無気肺の種類によって、できる看護ケアが変わってきます。
  • 痰の移動は末梢から中枢に移動してくることをイメージする。
  • 無気肺になった時は、看護師が最も対応が早くできる。
  • 無気肺の予防も超重要です。

 

本当に厄介な無気肺ですが、理解すると現場での対応力もかわります

 

無気肺にならないことが一番いいのですが、遭遇してしまったら、参考にしてみてください。