今回はCOPD急性増悪で入院し、高CO2血症を伴った状態で退院する患者の在宅NIVの有効性についての論文です。
在宅にNIVをレンタルした状態で退院する患者さんをみたことあるかもしれません。
しかし、現状でははっきりとした根拠がないのが事実です。
(効果が証明されなかった論文もあります:Thorax 2014;69:826-834)
そこで今回の論文は、COPD急性増悪治療後にCO2貯留がある患者に対して在宅NIVを検討した、IFの高いJAMAに掲載されたRCT論文です。
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目次
Effect of Home Noninvasive Ventilation With Oxygen Therapy vs Oxygen Therapy Alone on Hospital Readmission or Death After an Acute COPD Exacerbation A Randomized Clinical Trial
【論文紹介】
JAMA.2017 Jun 6;317(21):2177-2186.PMID28528348
多施設(イギリス13施設)、RCT
P:COPD急性増悪治療後に低酸素血症、高二酸化炭素血症(PaCO2>53mmHg)が遷延する患者
I:HOT+NIV
C:HOTのみ
O:12ヶ月以内の再入院や死亡までの時間
【結果】
2010-2015年:2021名が参加
116 名がランダム化へ(HOT単独群:59名、HOT+NIV群57名)
NIVの設定:IPAP/EPAP=24/4(中央値)
*日本で馴染みのある設定よりもかなり高圧
<主要評価項目>
・再入院しない1年生存率
HOT単独群:19.6%、HOT+NIV群:36.6%→NIV群で有意に改善
<副次的評価項目>
・全死亡率:有意差なし
・増悪回数/年:NIV群で有意に改善
結論
COPD急性増悪治療後に高二酸化炭素血症を合併する重症COPD患者に在宅NIVを導入すると、12ヶ月以内の再入院や死亡までの期間延長、急性増悪の回数低下が認められるが、全死亡率は有意な変化なし。
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まとめ・感想
今回の研究からも、条件に満たされる患者はNIVを導入すべきと考えられます。・
しかし、海外の論文で多いのですが、NIV使用群のIPAP中央値が24と高いので、自宅での忍容性や管理が行えるのか、患者が受け入れられるのか(日本の場合医療者も)が懸念されました。
さらに適切な圧に関しても報告されるといいと思いますが、生理学的効果を期待するとどうしても高圧になってしまうのですね。
それでもJAMAに掲載られた在宅でのNIV研究ですので、今後在宅でNIVを使用する重症COPD患者さんが増えるかもしれませんね。
ますます在宅スタッフの幅広い知識とアセスメントが重要になっていくるように感じました。
今回の論文も大変勉強になりましたので、興味がある方は是非以下の原著論文を参考にしてください。
JAMA.2017 Jun 6;317(21):2177-2186.PMID28528348