今回はCOPD患者の身体能力(PC:physical capacity)と身体活動(PA:physical activity)を組み合わせ、COPD患者の特性を調査した論文です。
臨床現場でも、「動く力あるし、動いている」人もいれば、「動く力はあるけど、動いていない」人もいると思います。また、その逆も存在しますよね。
このように、身体能力と身体活動を4分割にわけて特性をみた面白い研究です。
学会等でもよく紹介されている有名な論文ですので、ご存知ない方は是非確認してみてください。
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目次
“Can do” versus “do do”: A Novel Concept to Better Understand Physical Functioning in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
【論文紹介】
J Clin Med. 2019 Mar 11;8(3). pii: E340. doi: 10.3390/jcm8030340. PMID:30862102
オランダの研究
P:40歳以上の安定期COPD患者
E:①PCもPAも高い、②PCは高いのにPAは低い、③PCは低いがPAは高い、④PCもPAも低い
C:上記4群を比較
O:様々な特性(患者背景、増悪頻度、肺機能、呼吸困難、健康関連QOL、独身かどうかなど)
この研究では、PCを6分間歩行距離で、PAを歩数(活動量計)で示しています。
PCは、6分間歩行距離の予測値70%以下をlow PCと定義しています。
PAは、5000歩/日以下をlow PAと定義しています。
【結果・研究者考察】
662名のCOPD患者を対象
①PCもPAも高い:31%
②PCは高いのにPAは低い:14%
③PCは低いがPAは高い:21%
④PCもPAも低い:34%
という分布になる結果でした。
①の場合は、全体的な疾患の数値が良好であった。この患者群に対するリハビリテーションは、運動療法よりも疾患管理、認知行動療法など疾患の負担に関する内容が効果的と述べている。
②の場合は、”できるのにしない”グループです。この群はBMIが高い結果でした。行動変容がもっとも重要だと論じています。
③の場合は、年齢が若く、仕事をしている割合が高い、パートナーがいるとなっている。このことから、活動量をあげるように働きかけてくれる関係があると活動できると考察しています。
④の場合は、気流制限、増悪頻度など疾患の重症度が最も高かったです。
結論
PAだけで考えず、PCだけで考えす、PAとPCを両方把握して4分割にすることで、患者特性が見えてくることがわかりました。
PCが高い人を一色担にしてはいけないことが、この結果からもみえてくると思います。
また、4分割ごとのリハビリテーション介入の方法、疾患管理対策も検討できると思われます。(今後の研究課題なようですが)
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まとめ
と、ここまで文章で説明してもとてもわかりにくいと思います。
原文の図と表をみると、とてもわかりやすくなります。(著作権の関係でここには提示できませんが)
ですので、興味があるかたは、是非以下の原著論文を参考にしてみてください。
J Clin Med. 2019 Mar 11;8(3). pii: E340. doi: 10.3390/jcm8030340. PMID:30862102