「RRS」ってご存知ですか?
ググってもRRSだけでは出てこないかもしれません。
RRSはRapid Responce Systemの略で、院内で生じた救急対応するときのシステムです。
総合病院などでないと使用しているところはまだ少ないかもしれません。
私も総合病院のICUで働いていたときに知りました。
「じゃあそんなに知らなくていいことなんじゃん」
というわけではなく、このシステムを知っていると、一般病院でも、在宅でも、看護のアセスメントに役立つと思い紹介させてもらいます。
ご存知の方もいるかと思いますが、まとめてみましたので参考にしてみてください。
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目次
RRSとは?
RRSとコードブルー
いわゆる、「コードブルー」とは違い、RRSは先手を打つシステムと言われています。
コードブルー:患者さんの容態急変などの緊急事態が発生した場合に用いられる、救急コール。
RRSのシステムと医療専門チーム
コードブルーは全館放送で、すぐさま医師たちがかけつけてくる病院がほとんどだと思います。
RRSの発動は、まだ病院ごとに様々だと思いますが、現場の看護師が「何か変だな」という状態を、病院が定めた基準で確認し、該当した場合に特定の場所に連絡するシステムが多いです。
特定の場所は、病院ごとに違うかもしれません。
私たちの病院は、日勤帯は「総合診療科の医師」、夜勤帯は「救急医」と決まっていました。
PHSの番号は「RRS専用」となっていて、当番の医師が持ち歩くことになっています。
RRS医療の背景
米国から広まった概念なようで、
「American Heart Association(AHA)心肺蘇生と救急心血管治療の ためのガイドラインアップデート 2015」にてRRSの導入が推奨 されています。
米国での報告では、3,000以上の病院において RRSが導入され、一部の病院では院内心停止率が15%減少したと効果を認めています。
日本でも、JCI(Joint Commission International)の認証基準に含まれているなど、RRSを導入する施設は増えてきています。
RRSでなにをアセスメントしている?
RRSは致死的な急変を未然に防ぐシステムで、バイタルサインなどの定められた基準に基づいて発動します。
この定められた基準は病院ごとに違いますので、病院の専門チームが基準を作成し、院内統一が必要です。
一部の例をあげてみます。
RRS発動の基準
当院の基準
上記の状態が急激に起こった場合に、RRSを発動することになっています。
ここで理解していただきたいのが、尿量以外は即座に判断できるバイタルサインであるということです。
その他論文での報告も参考までにのせてみますね。
- 呼吸促迫、上気道狭窄
- 呼吸数30/minより多い、または6/min未満
- 酸素投与下でSpO2:90%未満、会話困難
- 治療によっても収縮期血圧90mmHg未満
- 脈拍数130回/minより多い
- 説明できない意識低下
- 痙攣重積
- その他(患者がどうも変、対応困難な疼痛、治療が無効など)
Buist et al.2002より
- 患者がどうも変
- 急激な脈拍数の変化(130回/minより多い、40回/min未満)
- 急激な血圧の低下(収縮期血圧90mmHg未満)
- 急激な呼吸数の変化(30/minより多い、8/min未満)
- 急激な酸素化の悪化(酸素投与下でSpO2:90%未満)
- 急激な意識低下
- 急激な乏尿(4時間で50ml未満)
Bellomo et al.2003,2004
だいたい似たようなバイタルサインですよね(当たり前ですが・・)
RRSを浸透させるために
これは当院が行った取り組みです
①専門チーム(中心医師)決定
「総合診療科」と「救急科」の副医長という、いわゆる発言力がある医師が中心になっていました
②全部署への学習会
看護部だけでなく、リハビリ課なども使用できるように、部署ごとに医師が勉強会を何度も開いてくれました。
③ポケットマニュアル、ミニラミネートの作成
基準が定まっても、覚えていることはなかなか難しいです。
業務中にポケットにいれて持ち歩けるように、見やすくラミネートを作成し、全員に配っていました。
④RRS起動後の報告
どれだけ起動したのか、内容がどのようなないようであったのか、わかるような記録が作成されました。
ちなみに、当院は3次救急ということもあり、しょっちゅう起動されていました・・・
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普段の医療/看護で活かせること
RRSのシステムが導入されていない場所でも、このRRSの基準やシステムがわかっているととても看護のアセスメントに役立つと思います。
RRSの基準例を3つあげましたが、ほとんど特別な機器も必要なく、即座にどこでもアセスメントできる内容ですよね。
在宅で訪問看護、訪問リハビリテーションなど、一人で行かなければならないときに、これは救急車を呼んだほうがいいのだろうか?と迷うこともあります(私がそうでした)
そんなときに、ここであげたRRSの基準を参考にアセスメントすると、今起きている状態が「急変前の予兆」である、「治療適応の状態」であることの参考になります。
もちろん、一般病棟でも同じで、「主治医に連絡する基準」になり得るかもしれません。
しっかりとしたフィジカルアセスメントを行い、バイタルサインの危険な基準を理解していると、看護師が急変を予防する担い手になることは大いにあります。
まとめ
- RRSという、院内救急対応システムがあります。
- RRSは先手を打つ医療で、定められた基準のもと発動します。
- 病院ごとにチームや基準作成が必要です。
- RRSがなくても、RRSの考えは、通常の看護師のアセスメントに大いに役立ちます。
私はRRSを知ってから、患者さんのアセスメントが行いやすくなりました。
もし知らなかったら、参考にしてみてください。
“RRS(院内救急対応システム)を医療/看護現場で活用!” への1件のフィードバック