医療ガイドラインをみたことありますか?
教科書や雑誌は見たことあっても、そもそもガイドラインを見る習慣がない方も多いのではないのでしょうか?
(私がそうでしたので・・・)
しかし、医療の現場では医師たちの治療は主にガイドラインに従って実践されています。
リハビリテーションも確率された医療になった現在では、病気のガイドラインを参考にする必要はありますし、リハビリテーションのガイドラインもでてきています。(大学や専門学校でも、それほど習ってこなかったから馴染みが薄いんですよね)
「ガイドラインってなんか堅苦しくてわかりにくそう」
というイメージもあると思いますが、実は簡単に効果的に利用できます。
今回は、そもそものガイドラインについてと、リハビリテーションに関連する分野のガイドラインをまとめてみました。
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目次
医療情報の集め方(一次資料と二次資料)
EBM(根拠に基づいた医療)を行うには、質の高い研究、文献を参考にする必要があります。
医師はもちろんのこと、理学療法や看護もEBMをベースに医療行為を行う必要があります。
医療情報を集めるための文献は、一次資料(一次論文)と二次資料(二次論文)に分けられます。
一次資料:原著論文(研究論文)、短報・速報、症例報告など
二次資料:総説・解説、システマティックレビューとメタ分析、診療ガイドラインなど
以下にイメージ図を添付します。
文献を引用する際にはこの一次資料を引用します。
実際の臨床現場ではガイドラインなどの二次資料をもとに、基本的な医療が行われています。
ガイドラインとは?
ガイドラインの定義
ガイドラインは
「医療者と患者が特定の臨床状況での適切な診療の意思決定を助ける目的で系統的に作成された文章」
と定義されています。
特定の疾患について、診断や治療法の方法を決定する際に、判断材料の1つとして利用することができます。
ガイドラインの形式
ガイドラインは
・臨床的課題(クリニカル・クエスチョン、CQ)形式
・教科書形式
の2種類に分けられます。
<臨床的課題(クリニカル・クエスチョン、CQ)形式>
診療における疑問点(○という疾患に△という治療は有効か?など)を設定し、その疑問に対して文献検索した結果から推奨グレードを決定するものです。
CQの定式化の基本形があり、
「Patient:どのような患者」
「Intervention:どのような介入」
「Comparison:どのようなものと比較して」
「Outcome:どうなるのか」
のように4項目で構成され、4つの頭文字をとって、PICOとよばれます。
CQ形式は疑問点と解説が直結していて理解しやすいのですが、対象となる疾患や治療法の範囲が制限される危険性があります。
<教科書形式>
臨床的特徴、疫学的特徴など教科書のように系統的に知見をまとめたものです。
CQに比べて包括的ですが、幅広すぎて推奨グレードが確定できないことも含まれる問題があります。
そのためか、近年はCQで作成されることが多くなっています。
(2019年現在に、理学療法ガイドライン第2版を作成中ですが、これもCQ形式になっています。)
ガイドラインのレベル
診療ガイドラインなどはEBMに基づいて策定されることが望ましいとされています。
そのため、文献のエビデンスレベルを評価します。
(文献は世界中に山ほどありますので、エビデンスレベルに分けないと判断ができないのですね)
エビデンスレベルは以下のように設定されていますので、一次資料から文献を確認するときの参考にしてください。
*ガイドラインでは、このエビデンスレベルが項目ごとに示されています。
ちなみに、ガイドラインではエビデンス評価を行ったあとに、医療状況(コスト、作成する国の保険制度等)を加味して推奨グレードが以下のようん決定されます。
ガイドラインを利用する際の注意点
・策定された年を確認しましょう
・ガイドラインは指針であり、強制ではありません
医療は日々進歩します。
ガイドラインは厳密で科学的な方法で作成されますが、医療水準の変化などによっても治療法は変わってきますので、ガイドラインの策定された年数を理解して利用する必要があります。
また、一般的に効果があるかどうかを示したものがガイドラインですが、患者さんは個々によって状態が違います。
指針としてのガイドラインは知っておく必要がありますが、強制ではないので、患者さんや環境に合わせて利用することが求められmqす。
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「MINDS」について
MINDSをご存知ですか?
医療機構評価機構のデータベース(医療情報サービスMedical Information Network Distribution Service:MINDS)には、様々な疾患に関するガイドラインが掲載されています。
外部サイトへのリンクも掲載されていて、大変利用しやすいです。
MINDSのHPにリンクしますので利用してみてください。
リハビリテーション分野のガイドライン
ガイドラインはMINDSや関連学会などを参考に利用していきますが、医療分野には膨大な数のガイドラインが存在します。
リハビリテーションで関わりそうなガイドラインのリンクを作成してみましたので、参考にしてみてください。
一部有料なものや関連書籍も含まれています。
注) この記事を作成している2019年4月時点の最新情報になります
理学療法ガイドライン
理学療法協会で作成しているガイドラインです。
2020 年に第二版が掲載される予定です。
運動器
など、代表的な疾患をまとめてみました
脳血管疾患
など、代表的な疾患をまとめてみました
循環器
・心血管疾患におけるリハビリテーションに関 するガイドライン:2012
・ペースメーカ,ICD,CRTを受けた患者の 社会復帰・就学・就労に関するガイドライン:2013
など、代表的なガイドラインをまとめました。
循環器系のガイドラインは循環器学会の「循環器病ガイドラインシリーズ」から多数閲覧できますので参考にしてみてください。
呼吸器
など、ガイドライン上にある代表疾患などです。
呼吸器に関しては、リハビリテーションのマニュアルなどがありますので、ガイドラインとは別に添付しておきます。
がん
その他
・日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン:2015
・リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン:2018
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ガイドラインについて「オススメ本」
ガイドラインは有効に使うと、日々の診療に根拠がもてます。
医師による治療だけでなくリハビリテーションにも有効になりますので、是非参考にしてみてください。
リハビリテーションスタッフ向けのガイドライン活用術の書籍もでていますのでオススメです。
まとめ
- EBMに基づいた医療を提供するためにはガイドラインの活用が有用です。
- ガイドラインにはCQ形式や教科書形式があり、グレードなどガイドラインのレベルも示されています。
- ガイドラインを活用するなら、「MINDS」がオススメですが、関連学会からも提供されています。
- リハビリテーションに関わる主なガイドラインを掲示しましたので参考にしてみてください。
新人のころはガイドラインから入ることは少なく、教科書から学んだと思います。(私はそうでした)
しかし最も質の高い医療情報がまとめられているガイドラインを参考にしないことはもったいないです。
日々ガイドラインはアップデートされていきますので、随時調べることができる能力も必要になりますが、今回簡単にまとめていますので参考にしてください。
“医療ガイドライン:リハビリテーション分野にも有効活用” への1件のフィードバック